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人の成長、進化に限界はないという確信 人の成長、進化に限界はないという確信

「人は必ず変化する、進化できる」。家庭教師時代も含めて、20年以上“教える”ことに全力を尽くしてきましたが、これは、私の変節なき信念であり、確信でもあります。成績が伸びないとすれば、原因は生徒さんにあるのではなく、取り巻く環境の問題や指導する教師、コーチの力不足にある。今日までの経験からそう断言できますし、責任は全て我々にあると肝に銘じ、日々指導にあたっています。

確信を持つに至った忘れられない原体験があります。20歳だった私が最初に教えた生徒さんのこと。成績が学年最下位という中学2年生で、授業の最初の1ヶ月間はやる気がないどころか、目も合わせてくれない状態でした。信頼を得るために、まずは“先生色”を排すところから始め、授業には関係のない雑談を通して生徒さんの好きなこと、趣味の話や学校・友人との関係を傾聴しました。テストで良い成績を取ること以上の、「学問の本質に触れる喜び」を感じてもらえるよう、オリジナル教材をつくり、今学んでいることが実社会ではどのように応用されているのかなど学習指導要領の枠に囚われずに自身の大学での研究なども伝え、興味を持ってもらう工夫をしました。傾聴・共感・寄り添いにより兄貴的な存在として私を認めてくれるようになりました。型にはまらない自由さがよかったのでしょう、彼はみるみる変化し、翌年には学年3番という成績を修めました。

この体験が、私の入り口です。「伸びない子はいない」という確信と、やる気に火が付くと人はこれだけ変わるのか-という感動。家庭教師や塾の講師を続けてきたなか、こういった経験は度々ありました。大学院で遺伝子解析の研究に取り組み、そのままなら研究者になっていただろう私が、塾経営の道を選んだのは、人の進化の過程を見る楽しさ、喜びというものを知り得たからです。

徹底的なヒアリングから始めるビスポーク プログラム 徹底的なヒアリングから始めるビスポーク プログラム

学習プログラムは完全個別対応で、現在は講師13名体制で指導にあたっています。学習指導要領や医学部受験に向けた一般的なカリキュラムに依らない「自由な塾」なので、まず重要になるのは最初の面談です。生徒さん本人はもちろん、親御さんともじっくり話をすることを大切にしています。まさに「be spoke」。我々がビスポーク・プログラムと呼んでいる所以で、面談には回数や時間制限を設けず、真摯な相互理解に努めています。

T's educationに来られる生徒さんは本当に様々です。「いろんな予備校に行ってもダメだった」という多浪生や、逆に、早い段階から長期プランで医学部を目指したいという中学生。また「働きながら」という社会人などもいて、環境も事情も違う一人ひとりと向き合うことになります。いわばお医者さまのように、個々の状態、これまでの経緯や課題を十分にヒアリングした上でプログラムを組んでいくのです。そして、相性のいい講師陣と組んで一緒に走る。私自身は化学の指導を担当していますが、カリキュラムについても講師各々がオリジナルのものを持っています。もとより、先述したポリシーを共有している講師陣ですから、その内容や指導技術に対しては全幅の信頼を寄せていますし、実績からしても、「生徒さんのニーズに個別最適化された柔軟なチーム編成とプログラムにより合格を確実に再現できる」という自負があります。

大切なのは、方法論より“在り方” 大切なのは、方法論より“在り方”

一方通行の授業をするだけの講師ではなく、「学習マネージャー」として1対1面談・計画策定・双方向授業の実行・模試などのフィードバックに加えて、最も注力しているのはメンターとしての役割を果たすこと。人はどうすれば夢・志を持てるか、長期思考を持ち一貫性のある継続ができるか……その支援です。というのは、受験合格はあくまでも一つの通過点であって、本当に大事なのは“その先”だからです。従来の予備校の多くは、少しでも偏差値の高い医学部に合格させることをゴールとし、基本的には、受かったら「はい、さようなら」です。受験まではアウトサイドインの環境ですが、大学進学後はインサイドアウト、主体性を発揮して自分の人生に責任を持ち、自分にとっての本当のゴールに向かって行動しなければなりません。実際、受験で燃え尽きてしまい、せっかく医学部に入っても伸び悩んだり、ビジョンを見失って立ちすくんだりする医学部生、思考停止して組織の一部に落ち着いてしまう社会人は少なくありません。

大切なのは、合格の先にある”ミライ”。だから我々は、生徒たちと「なぜ、医学部に行きたいのか」「医師になったらどの領域でどのような活動・貢献ができるか」「興味関心のある分野と医療を掛け合わせたり統合ができるのか」といったビジョンについてよく話をします。自分がどう在りたいか、何を大切にするのかと向き合うことは非常に重要で、これは、近年重視されている二次試験・面接対策においても有効です。ここを疎かにして、偏差値という数字だけに一喜一憂していると、本来の力を発揮できずにモチベーションも低下し、受験期間は長期化します。ビジョン実現に対する意識を高め、使命感や学問・実社会・人間に対する好奇心が育まれると、我々が自分が想像するよりもはるかに創造的な存在になれるのです。

教育にイノベーションを起こすという使命” 教育にイノベーションを起こすという使命”

合格後も多くの卒業生と交流を続ける中で、私は確信を深めています。医学部での学びが「国家試験合格」という一点のみに収束し、専門領域のトンネルに閉じこもってしまうことは、激動の時代において極めてリスクが高いということです。医療技術が指数関数的に進化し、AIとの共生が不可欠な2026-2040年において、医師に求められるのは「分断された専門知識」ではなく、経済・テクノロジー・そして予防医療やウェルネス領域までを俯瞰する「統合的な視座」です。

私が現在取り組んでいるのは、単なる塾の枠を超えた、視野を広げ視座を高くするためのリベラルアーツの提供と、学閥や大学の垣根を超えたコミュニティの構築です。ここでは、最新のニュートリゲノミクス(栄養遺伝学)やバイオハッキングに基づいたエイジングケアや、インドをはじめとするグローバル市場への挑戦といった、医学の外側に広がるダイナミックな社会の動きを共有しています。未来の医師たちが、自らの専門性に安住せず、アントレプレナーシップ(起業家精神)やオーナーとしての思考を備えること。それこそが、将来の彼らの人生を豊かにし、ひいては日本の医療界に本質的な変革をもたらすと信じています。

日本の教育改革は未だ道半ばですが、私はそこに「キャリアデザイン」という新たなイノベーションを起こす使命を感じています。合格をゴールとせず、100歳を超えても現役で成長・発展・繁栄を続けられる強固な知性と心身の土台を築くこと。この不確実な時代において、AIなどのテクノロジーを自らの分身として使いこなし、何があっても自らの意志で動き、進化し続けられる人間を育てること。

人間の可能性は、私たちが想像する以上に拡張されています。教育とビジネスを統合した多角的なサポートを通じて、一人ひとりが持つ「進化の種」を芽吹かせ、社会に大きな彌榮(いやさか)をもたらすことができれば、これ以上の喜びはありません。

Profile
Profile

高橋昂平(たかはし・こうへい)
1982年、神奈川県生まれ。明治大学農学部で生命科学を学び、その後、東京大学大学院(農学生命科学研究科)に進学。「生命現象を解析し、産業の発展に貢献する」という想いで、まだ黎明期にあった遺伝子テクノロジーの研究に携わる。
一方、大学生の時に独立して始めた家庭教師を皮切りに、院生時代からは大手予備校の講師も務めるなど、数多の生徒の学習支援をしてきた。その「教える楽しさ」、「研究者ではなく教育者としての人生観」から、修士過程を中途退学して起業、2016年に医学部受験塾「T's education」を開設。独自の教育スタイルで合格率100%の実績を挙げ続ける。
自らも学び続け、変化し続けることを大事にしており、生命科学の知見を活かした予防医学事業・講演活動やAIを活用した社会人向け教育プラットフォーム事業を立ち上げ、複数の事業を経営する。現場に立ち続けることも好きなため、設計・開発・実演の全ての段階に携わっている。
事業Visionは「教育と他領域を統合し、人々が時代と呼吸し成長・繁栄するためのエコシステムを創造する」ことである。